家族というのは同じ家で暮らし、生計を一にしているのが一般的です。だからと言って、消費者金融からの親の借金を子どもが返済する義務はありませんし、兄の借金を弟が肩代わりする必要もありません。
仮に、消費者金融が債務者以外の人に取り立てを行えば貸金業法に違反し、行政処分の対象になります。
なお、家族の間で返済義務が生じるとすれば、それは遺産相続です。相続人になれば借金の返済義務を相続することになります。
ただし、相続を放棄した場合は相続人では無かったことになるため、財産の相続ができないと同時に、借金の返済義務も無くなります。
もう一つ、返済義務の生じるのが借金の保証人であった場合です。保証契約というのは債務者における金銭貸借契約とは別に、保証人が自分の意思で消費者金融と交わした契約であるため、当然契約を履行する義務があります。
未成年が親の承諾無にした契約は無効?
ところで家族の内、未成年の子どもが消費者金融から借金をした場合は全く話が違ってきます。そもそも、未成年者保護の観点から、法律では未成年の子どもが親(法定代理人)の承諾を得ずに金銭貸借契約を交わすことを認めておらず、交わした契約は法律上無効となり、取り消すことができます。子どもが勝手に保証人欄に親の名前を記入したとしても変わりません。
そして、未成年者の契約は無効であることから、借りたお金は「現に利益を受ける限度」で消費者金融に返還するだけで構いません。
つまり、手元に残っているお金を返還すれば良く、使ってしまった分まで返還する義務はありません。
なお、例え未成年者であっても「積極的な詐術」という悪意でもって交わした契約は取り消すことができません。免許証を偽造して成人であると相手に誤認させたような場合は、法律上の保護の対象にはなりません。
従って、貸借契約は成立し、約定通りの返済義務が生じます。ちなみに、「21歳です」や、「親の了解を得ました」と伝えただけでは積極的な詐術とはなりません。
前述のように、家族の名前を無断で使って保証人にした場合は「無権代理行為」になり、使われた第三者に責任が及ぶことはありません。
ただし、「無権代理行為の追認」という制度があり、勝手に保証人にされた家族が債務者に代わってほんの一部でも返済すると保証人であることを認めたことになり、返済の義務が生じます。
立て替えるつもりが無いなら、請求されても一切の返済を拒否するのが賢明です。
ところで、法律上では返済義務の無い第三者が債務者の借金を肩代わりすることは問題ありませんが、債務者が拒否しているのに肩代わりすることは許されません。
なので、仮にみずほ銀行カードローンから借りていて、勝手に親が支払いした場合、債務者本人がその支払いを拒否した場合、みずほ銀行は親に受領したお金を返さなければならないのです。
保証人の追認は非常に怖い話ですが、上記のような、親や兄弟が代払いするケースはよくある話です。